第20回日本獣医がん学会に参加してきました。
第109回獣医循環器学会に参加してきました
1月11〜13日に仙台市で開催されたこの学会は麻酔外科学会との合同開催です。12、13日の2日間参加してまいりました。
内容は目新しいものはそれほどありませんでしたが、基礎的なことを含め、押さえておくべき重要事項の復習といった感がありました。
麻酔時の事故を防ぐための留意事項、不整脈を正確に診断するための心電図活用法、各診療施設での症例報告などです。
不整脈には生活に影響なく、特に治療の必要のないものから、突然死を引き起こす危険なものまでさまざまで、これらをきちんと診断できることが大切となります。
通常来院時の動物たちは緊張や興奮から、通常家にいる時とは心拍・血圧・心電図波形などが異なっていることも多くあります。そのため、24時間以上、時には72時間の心電図連続記録(ホルター心電図)を実施することがあります。
興奮時のふらつきや失神、座り込んだり倒れたりといったことがたまにでも見られるようであれば、動物病院にご相談されると良いと思います。
今学会では、歯科・口腔外科で著名なVets Dental & Oral Surgery Office 院長の江口徳洋先生の講演も聴くことができました。
歯周病は心内膜炎など、歯とは全く異なる臓器にも炎症を起こすなど、実はとても問題のある疾患です。
歯と歯肉のホームケアと定期的な麻酔下でのメンテナンス・治療により、高齢になっても見た目が綺麗なだけでなく口臭の少ない、健康な口腔環境を維持することが可能です。この点もぜひ強調して今回の学会参加報告を終えたいと思います。
今月7日に開催された鳥類臨床研究会第22回年次大会に参加してきました。
大会では、症例発表や研究報告など鳥類の臨床に関する様々な分野の発表が行われました。
昨今、飼育数が増えてきたサザナミインコにおける症例発表では、体表腫瘤や腹部膨大等を認めた7症例において病理組織検査を実施したところ感染症、非腫瘍性病変、腫瘍病変が認められ、特にリンパ系腫瘍の好発傾向が示唆されたと報告されていました。
サザナミインコは当院でも来院は見られますがその数はまだ少なく、これまで文献上の情報も少なかったので、今後同じような症例を見かけたときには診察の参考にしていきたいと思いました。
井出いづみ
WJVF ( West Japan Veterinary Forum ) 第9回大会に参加しました
今回の学会では犬猫の肺水腫に関する講演に加え、腎不全に関する講演を聞いてきました。
心臓疾患が原因の肺水腫治療には利尿剤が欠かせません。肺が水浸しで呼吸困難をおこし、まさに命に関わる状態になるのが肺水腫です。ですが、利尿剤の使用は腎臓に負担をかけてしまいます。
いかに腎臓への負担を最小限にしつつ肺から水を抜くか、ギリギリの戦いをすることになります。
これまでの診断治療方法を覆す様な目新しい内容ではありませんでしたが、改めて肺水腫の緊急時の対応と腎不全を見直すきっかけになりました。
肺水腫を起こす可能性の高い疾患に僧帽弁閉鎖不全症がありますが、この疾患はチワワなどの小型犬によく見られます。講師の先生のお話の中で、肺水腫を発症するきっかけで意外と多いものに、「高塩分食の摂取」があるそうです。もしお家のワンちゃんがこの病気でしたら、人の食べ物、特に味のついたものにはどうか気をつけてください。(もちろん、この病気の子でなくても人の食べ物の多くは犬や猫の健康上よくないものが多いので与えるべきではありませんが)
ねだられるとつい、「ちょっとなら・・・」と与えてしまいがちですが、本当にちょっとでも肺水腫を誘発することがあるとのこと。ほんの一刻の喜びが、命に関わる重大な事態になりうることを心に留めて置いていただければと思います。
阿部素子
今回のがん学会のメインテーマは「犬の鼻腔腫瘍」です。