獣医師コラム

犬のしつけは愛情のカタチ|正しいしつけで築く幸せな関係

犬と一緒に暮らし始めると、必ずと言っていいほど「しつけ」について考える瞬間が訪れますよね。特に無駄吠えや甘噛みに悩まされる飼い主様も多いかと思います。

 

しつけというと「叱る」ことを想像しがちですが、実はしつけはルールを教え、正しい行動へと導くためのもの。その過程で信頼関係が育まれ、心の通ったコミュニケーションが生まれます。

 

今回は犬との信頼関係を築き、日々の生活をさらに豊かにするためのしつけのポイントについて解説します。

 

 

■目次
1.なぜ犬のしつけが必要なの?
2.しつけをすることで得られるメリット
3.しつけが不十分だとどうなる?
4.いつからしつけを始めるべき?
5.まとめ

 

なぜ犬のしつけが必要なの?

犬はもともと群れで生活し、探索や追跡、狩猟といった本能に従って行動する動物です。しかし、家庭での生活では自由に動き回るのが難しく、外出も飼い主様のタイミングに合わせる必要があります。

 

そのため、犬が本能のまま行動してしまうと問題行動とみなされてしまうことがあります。こうした行動を防ぐために「しつけ」がとても大切になるのです。

 

しつけが不十分だと、無闇に吠えたり、攻撃的になったり、噛みつきや他人への飛びつき、粗相など、さまざまな問題行動が見られることがあります。

 

しかし、しつけを通じて犬が人の指示やルールを理解するようになると、犬自身も安心できるようになり、飼い主様との信頼関係も深まっていきます。

 

さらに、しつけを通して社会性を身につけることで新しい環境や音、人混みなどの刺激にも過敏に反応しなくなり、公共の場でもリラックスして過ごせるようになります。

 

こうしたしつけによって飼い主様と犬の生活はより快適で楽しいものになり、お互いのストレスもぐっと減ることでしょう。

 

しつけの方法についてはこちらで解説しています

 

 

しつけをすることで得られるメリット

犬をしつけることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。以下に具体的な例を挙げて解説します。

 

<飼い主様との信頼関係の構築>

しつけを通じて飼い主様と犬が一緒に過ごす時間が増えることで、コミュニケーションが深まります。指示に従って褒めてもらえることで、犬は飼い主様への信頼感や愛着を強く感じるようになります。

 

<ストレスのない快適な生活>

少しの物音にも過敏に反応して吠えたり、他人に攻撃的な態度を取ったりしてしまうと、犬も飼い主様もストレスが溜まりやすくなります。

 

しかし、しつけによって多少の刺激には動じなくなり、他者を受け入れる姿勢が身につけば、双方が穏やかな日々を過ごすことができます

 

<事故やトラブルの防止>

「待て」や「来い」といった指示に従えるようになると、交通事故や迷子、他の犬とのトラブルのリスクを減らすことができます。

 

日頃からしつけを行い、飼い主様の指示に従う習慣をつけることで、犬自身の安全も守られるのです。

 

<社会性の向上>

他の犬や人、救急車やバイクの音、子どもの声など、さまざまな状況に慣れさせることで、無駄吠えや噛みつきが減り、落ち着いて過ごせるようになります。

 

特に子犬の頃からのしつけが、社会性の発達には重要です。

 

<健全な精神状態の維持>

しつけを通して犬にルールや生活習慣を教えることで、犬は「どう行動すればよいか」を理解します。行動の正解が分からないと、犬にとっても不安や混乱を感じやすくなります。

 

しつけによって人との暮らし方を学ぶことで、犬も落ち着いた行動ができるようになり、精神的にも安定した状態が保たれるようになります。

 

 

しつけが不十分だとどうなる?

では、十分なしつけが行われないと、犬はどのような問題を抱えてしまうのでしょうか。

しつけが不十分な場合、犬は環境に適応できず、吠え癖や噛み癖、分離不安(飼い主様への過度な依存)、トイレの失敗など、さまざまな問題行動を起こしやすくなります。

 

吠え癖についてはこちらで解説しています

分離不安についてはこちらで解説しています

 

こうした行動が見られると、飼い主様は注意したり叱ったりしますが、しつけが不足している犬は「なぜ叱られるのか」を理解できません

 

そのため、犬にとってはただ「怒られる」という体験が積み重なるばかりで、次第にストレスがたまっていくのです。

 

しつけが不十分なままの状態で過ごし続けると、問題行動が犬の生活習慣として固定化されてしまうことがあります。

 

こうした行動を後から矯正するのは非常に時間と根気が必要となり、なかなか改善できないことが多いのが現実です。結果として、問題が長期化し、飼い主様も犬も疲弊してしまう可能性が高くなります。

 

 

いつからしつけを始めるべき?

犬のしつけは、できるだけ早い時期から始めるのが理想です。

 

特に子犬期(生後6か月頃まで)は学習能力が高く、新しい環境にも柔軟に適応できるため、この時期にさまざまな経験をさせてルールを身につけることで、適切な社会化にもつながります。

 

ただ、成犬になってからでは遅いというわけではありません。子犬の頃よりも時間はかかりますが、根気強く一貫した態度でしつけを行えば、成犬でも良い行動を身につけることが可能です。

 

また、問題行動が長期化していたり、噛み癖など早期に改善したい習慣がある場合は、プロのトレーナーに相談するのもよい方法です。

 

子犬の場合は、しつけ教室やパピー教室に参加するのもおすすめです。他の犬と関わる機会を持つことで、犬自身が社会性を育むことができ、飼い主様も飼い始めの不安や悩みを話す場として活用できます。

 

当院のしつけ教室やパピーパーティーのご案内はこちら

 

 

まとめ

しつけは、犬が精神的に安定し、安心して生活するための大切な基盤です。適切なしつけを通じて犬は安心感を得られ、飼い主様と強い信頼関係を築けるようになります。

 

お互いがストレスなく過ごすためにも、日々の生活の中でしっかりとしつけに取り組んでみましょう。

 

 

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