犬や猫の健康と長寿を守るために┃加齢による変化とその対策｜獣医師コラム-富山県射水市の動物病院なら吉田動物病院

2024.11.12

犬や猫たちも、今では私たちと同じように高齢化が進んでいます。そのため、健康を維持しながら、一緒に過ごす時間をできるだけ長く保つことが大切になってきます。

そして、年齢を重ねるにつれて、身体や行動にさまざまな変化が見られるようになります。その変化に気づき、適切なケアを行うことが、彼らの健康維持には欠かせません。

そこで今回は、犬や猫が加齢とともに経験する代表的な変化について詳しくご紹介し、それに対するケアや対策について解説します。

年齢を重ねると、特によく見られる変化のひとつに目が白くなることがあります。この変化に気づくと、「白内障では？」と心配される飼い主様も多いでしょう。

確かに、白内障は放置すると失明につながる病気ですが、高齢の犬や猫の目が白くなる原因は、核硬化症であることもよくあります。核硬化症の場合、視力に大きな影響はありません。

大切なのは、まず動物病院でしっかり診てもらうことです。もし白内障と診断された場合は、早期に治療を始めることが健康を守るために重要です。

高齢の犬によく見られる神経系の症状のひとつに、突然首が傾くというものがあります。それだけでなく、ぐるぐると同じ場所を回り続けたり、ソファの隙間に入り込んで出られなくなったりすることもあります。

また、そのような状態の時に犬の目をよく見ると、眼球が小刻みに横に揺れているのに気づくかもしれません。

これらは、耳の奥にある平衡感覚をつかさどる前庭という部分に問題が生じている前庭疾患の可能性があります。

適切な治療を受けることで、多くの場合、症状は改善しますが、首の傾きが完全に元通りにならないこともあるかもしれません。異常に気づいたら、できるだけ早く動物病院で診察を受けることが大切です。

年齢を重ねると、さまざまな臓器の機能が低下しますが、高齢の猫に特に多いのが腎臓の機能低下です。このように、腎臓の働きが徐々に弱っていく状態を慢性腎臓病（CKD）と言います。

猫はもともと水をあまり飲まない習性があり、さらに遺伝的要因やストレスなどが加わることで、慢性腎臓病を発症しやすいと言われています。

そのため、若い頃から意識的に水を飲む工夫をし、できるだけストレスの少ない環境を整えてあげることが、腎臓を守るためにはとても大切です。

骨と骨の間にある軟骨は、関節のクッションとして重要な役割を果たしています。しかし、加齢に伴い、この軟骨にかかる負担が大きくなり、徐々に劣化していきます。そうして関節の周りが炎症を起こす病気が変形性関節症（OA）です。

高齢の犬や猫が、以前のように活発に運動しなくなったり、歩き方がぎこちなくなったり、トイレを失敗するようになった場合、変形性関節症を発症している可能性があります。

しかし、早めに動物病院で適切な治療を受けることで犬や猫の生活の質を守り、より快適に過ごせるようになります。

ここまでお伝えしてきたように、犬や猫は年齢を重ねるにつれてさまざまな変化が体に現れます。そのため、適切な食事管理や運動は、単に適正体重を保つだけでなく、ストレスを緩和するためにも非常に重要です。早めにこうしたケアを始めることで、年齢に伴う変化の進行を遅らせることができる可能性もあります。

また、当院では高齢の犬や猫のためのシニア検診も行っています。これにより、加齢による変化にいち早く対応し、健康を守るサポートをしていますのでぜひご活用ください。

当院では、15歳以上の猫、小型犬・中型犬、12歳以上の大型犬、10歳以上の超大型犬に加えて、うさぎやハムスター、セキセイインコなどの小鳥も対象に、敬老表彰を行っております。

この表彰は単にお祝いをするだけでなく、長い年月を共に過ごしてきた飼い主様と犬や猫との絆を振り返る大切な機会でもあります。

ぜひ、この特別な時間をお楽しみいただければと思います。

いつまでも子供のように感じる愛犬や愛猫ですが、ふと気づくと高齢になっていることに驚くことがあるかもしれません。

加齢に伴い、心身にさまざまな変化が訪れますが、犬や猫が最期まで快適な生活が送れるかどうかは飼い主様の日々のケアにかかっています。

そのためにも、動物病院と上手に連携しながら愛する犬や猫が健康的な老後を過ごせるよう、一緒にサポートしていきましょう。

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