獣医師コラム

犬と猫のための薬膳入門|東洋医学で健康をサポート

犬や猫の薬膳とは、「食材の選び方によって日々の食事も薬になる」という東洋医学の考え方に基づいて作られた食事のことで、病気の予防や体のバランスを整えることが期待できます。

 

ただし、薬膳はあくまで体調を整え、健康維持や予防を目的としたものであり、直接病気を治すものではありません。

 

また、季節や体質によっては避けた方がよい食材もありますし、場合によっては体調を崩すこともあります。そのため、具体的な食材選びや分量については、必ず獣医師にご相談ください

 

今回は、犬や猫の薬膳について、皆さまに知っておいてほしいポイントをわかりやすく解説していきます。

 

 

■目次
1.犬と猫の薬膳とは?基本的な考え方を解説
2.薬膳で使われる主な食材とその効果
3.犬と猫の体調別におすすめの薬膳
4.注意が必要な食材と使い方
5.当院で取り扱っている薬膳製品の紹介
6.薬膳を始める前に知っておくべきこと
7.まとめ

 

犬と猫の薬膳とは?基本的な考え方を解説

東洋医学には「医食同源」という考え方があります。これは、食材にも生薬のように体にさまざまな作用があり、体質や体調に合った食材を選ぶことで、病気の予防につながるというものです。

この考え方をもとに作られるのが「薬膳」です。薬膳は、病気を治すためのものではありませんが、症状の緩和や体調維持、健康のサポートを期待できる食事として期待されています。

 

犬や猫における薬膳も人と同様で、食材が持つ特性を大切にし、個々の体質や体調に合わせた食事を取り入れることで病気の予防を目指します。

 

愛犬や愛猫に合わせた薬膳の工夫をすることで、毎日の食事が健康をサポートする力になるかもしれません。

 

薬膳で使われる主な食材とその効果

薬膳では季節に応じた食材を使うことで、愛犬や愛猫の健康サポートが期待できます。ここでは、季節ごとにおすすめの食材とその効果をご紹介します。

 

<夏に効果的な食材>

・冬瓜

・緑豆

・もやし など

 

夏は暑さで体に熱がこもり、水分不足になりがちです。この時期には、体を冷やして熱中症予防をサポートする食材が役立ちます。冬瓜や緑豆、もやしなど、体をクールダウンさせる効果がある食材がぴったりです。

 

<冬に効果的な食材>

・かぼちゃ

・にんじん

・鶏肉 など

 

寒さが厳しい冬は、体やお腹が冷えやすくなります。この季節には、体を温め、胃腸の働きを助ける食材が活躍します。

かぼちゃやにんじん、鶏肉など、体を内側から温める効果が期待できる食材が効果的です。

 

<年間を通じて効果的な食材>

・大棗(なつめ)

・枸杞(くこ)

 

季節を問わず取り入れたいのが、大棗や枸杞といった滋養強壮の作用がある食材です。これらは体に栄養を補い、愛犬や愛猫の健康を日々サポートしてくれる頼もしい食材です。

 

犬と猫の体調別におすすめの薬膳

薬膳は、愛犬や愛猫の体質や体調に合わせて食材を工夫することで、病気の予防や健康サポートを目指す方法です。

 

体調に応じて選ぶべき食材が異なるため、そのときの体の状態に合った食材を意識的に取り入れることが大切です。

 

例えば、体力が落ちているときは、エネルギーの源である「気」が不足している可能性があります。この場合、牛肉や鶏肉、穀類、豆類、かぼちゃなど、体を温め、消化によい食材が役立ちます。これらの食材は、体力の回復をサポートし、健康維持につながります。

 

ただし、愛犬や愛猫の体質は一匹一匹異なるため、同じ症状であっても最適な食材は異なることがあります。そのため、具体的な食材選びについては、ぜひ一度獣医師にご相談ください。

 

注意が必要な食材と使い方

薬膳では、体質に合わせて積極的に取り入れるべき食材がある一方で、避けた方がよい食材もあります。

例えば、腎臓の働きが低下している「腎虚体質」の場合には、かぼちゃや芋類、バナナといった「甘味」のある食材が腎臓に負担をかけることがあるため、控えた方がよいとされています。こうした食材は、一見健康によさそうでも、体質によっては逆効果になることがあるのです。

 

薬膳を取り入れる際には、適切な使い方がとても重要です。体質や状態に合わない食材の使用は副作用を招く可能性もあるため、事前に獣医師に相談して、安心して薬膳を楽しめるようにしましょう。

 

当院で取り扱っている薬膳製品の紹介

当院では、愛犬や愛猫の健康サポートにおすすめの「薬膳百香」の薬膳スープを取り扱っています。薬膳百香は獣医師が監修し、安心できる国産食材のみを使用した薬膳フードブランドです。薬膳をもっと気軽に、そして美味しく取り入れられるのが特徴です。

 

薬膳スープには、使いやすい「薬膳スープパック」と「薬膳スープセット」の2種類があります。スープパックは、1回分ずつ出汁パックに小分けされているため、お湯をかけて蒸らすだけで簡単に準備できる便利なタイプです。

 

特に猫ちゃん向けには、嗜好性を高めた専用のスープもご用意しており、喜んで飲んでくれると好評です。

 

スープセットは複数回分の材料がまとめて入っており、一度に作って冷蔵や冷凍で保存できるので、まとめて準備したい方にぴったりです。日々の健康をサポートする薬膳を、愛犬や愛猫に無理なく取り入れていただけるよう、お好みやライフスタイルに合わせて選べます。

 

「薬膳百香」の薬膳スープの詳細はこちら

 

薬膳を始める前に知っておくべきこと

薬膳は健康をサポートする方法のひとつであり、万能薬ではありません。病気を直接治すものではなく、期待できる効果は症状の緩和や健康維持のサポートです。

そのため、薬膳はあくまで日常の健康管理として取り入れるものと考えておくとよいでしょう。

 

また、持病や体質に合わない食材を使うと、副作用が出てしまうこともあります。既存の治療中であれば、治療の妨げになる可能性もあるため、薬膳を始める前には必ず獣医師に相談してから取り入れるようにしましょう。

 

まとめ

人間と同じように、犬や猫も食生活を工夫することで、病気の予防や症状の緩和が期待できます。しかし、手作りで薬膳を用意するのは大変…と感じる方も多いのではないでしょうか。

 

そんなときは、普段の食事にプラスするだけで簡単に取り入れられる薬膳スープなどの既製品を上手に活用し、無理なく続けていきましょう。

 

ペットの東洋医学は、動物医療の中でも注目が高まっており、薬膳のほかにも漢方や鍼灸を取り入れる動物病院が増えています。

 

現在治療中の病気がある場合でも、西洋医学と併用することで相乗効果を期待できることがあります。東洋医学にご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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富山県射水市の動物病院 吉田動物病院

TEL:0766-52-1517

診療案内はこちらから

 

<参考>

これ1冊できちんとわかる 図解 東洋医学(マイナビ)

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