獣医師コラム

犬と猫の外耳炎|専門的診断と治療で耳の健康を守る!

人の病気で「外耳炎」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思いますが、実は犬や猫では人よりも外耳炎が起こりやすいことをご存じでしょうか。

これは、犬や猫の耳の構造や生活環境が原因となることが多いためです。特に長毛種の犬や猫は、耳の中に毛が入りやすく、通気性が悪くなることから、外耳炎のリスクが高まります。

 

今回は、犬と猫の外耳炎について解説します。

 

 

■目次
1.外耳炎とは?
2.外耳炎の主な原因と症状
3.なぜ早期発見・早期治療が重要なのか
4.動物病院での外耳炎の診断方法
5.吉田動物病院の外耳炎治療方法
6.重症化してしまった外耳炎への対応
7.外耳炎の予防と日常のケア
8.まとめ

 

外耳炎とは?

耳は、耳介から鼓膜の前までの「外耳」、鼓膜から鼓室胞までの「中耳」、それ以降の半規管や蝸牛からなる「内耳」の3つから構成されています。

 

外耳炎とは、耳の穴の入り口から鼓膜までの通り道である外耳道に炎症が起こっている状態のことを指します。

 

特に犬や猫の外耳道はL字型をしていて通気性が悪いため、外耳炎が引き起こされやすいのです。

 

外耳炎の主な原因と症状

外耳炎の主な原因には、以下のようなものがあります。

 

・アレルギー

・細菌や真菌の感染

・寄生虫

・腫瘍

・異物

 

また、遺伝的にアレルギー疾患を発症しやすい犬種・猫種、垂れ耳や耳毛が多い犬種・猫種では、特に発症が多い傾向があるため注意が必要です。

 

外耳炎になると、次のような症状が見られるようになります。

 

頭を振る

後ろ足で耳を掻く

耳が赤い

耳が臭い

耳垢が多くなる

耳に触られることを嫌がる

 

普段の生活では耳の中までよく見えず、耳道の赤みや汚れに気が付かないこともあります。

そのため、愛犬や愛猫の耳の様子はこまめにチェックすることが大切です。

 

なぜ早期発見・早期治療が重要なのか

外耳炎は、早期発見と早期治療が重要となります。その理由としては、外耳炎が進行すると慢性化して治療が長引く場合があり、一度良くなっても再発を繰り返してしまうことが多くなるためです。

 

また、外耳道の炎症が鼓膜の奥の中耳やさらに先の内耳にまで波及し、中耳炎や内耳炎を引き起こすリスクもあります。愛犬や愛猫に気になる症状がある場合には、早めに動物病院を受診することが大切です。

 

動物病院での外耳炎の診断方法

外耳炎の診断には、次のような方法があります。

 

耳鏡検査

耳鏡と呼ばれる検査機器を用いて、耳の奥まで状態を綿密にチェックします。

 

耳垢検査

耳垢を採取し、顕微鏡を用いて細菌や真菌、寄生虫の有無を確認します。

 

麻酔下での詳細検査

より正確な診断のために、全身麻酔下で耳道内視鏡(ビデオオトスコープ)を用いて外耳道内の状態や腫瘍、異物の有無などを確認します。

 

吉田動物病院の外耳炎治療方法

外耳炎では、炎症を引き起こしている原因に合わせた治療を行います。

 

アレルギーや、細菌・真菌・寄生虫の感染による外耳炎では、耳道内を洗浄し、病原体に合わせた点耳薬や内服薬による内科的治療を行います。

 

一方で、異物や腫瘍が原因の場合には、レントゲンやCTでの検査後、ビデオオトスコープで確認しつつ、異物除去や腫瘍摘出、レーザー治療などの外科的治療を行います。

 

重症化してしまった外耳炎への対応

内科的治療に反応しない場合や、外耳炎が進行し耳道の構造が変わってしまっている場合などでは、全耳道切除や中耳手術などの治療が必要になることがあります。

 

そのような場合、当院ではより専門性の高い二次診療病院をご紹介しております。

 

外耳炎の予防と日常のケア

外耳炎を予防するためには、日頃から耳の状態を観察し、また耳を清潔に保つことが重要です。日々の生活の中でも、愛犬や愛猫の耳に赤みや汚れがないか、悪臭はないかなどをこまめにチェックし、適切な頻度で耳掃除を行う習慣をつけましょう。

 

また、定期的に動物病院でチェックや耳掃除をお願いすることも外耳炎の予防や早期発見に繋がるのでおすすめです。

 

ご自宅での耳掃除の手順は以下の通りです。

 

①愛犬・愛猫をリラックスさせる

②ぬるま湯や耳専用クリーナーをティッシュやコットンに染み込ませ、目に見える範囲の汚れを優しく拭きとる

 

ご自宅での耳掃除の頻度は犬種・猫種や耳の状態によっても変わりますが、基本的には週に1回程度行うようにしましょう。

 

まとめ

犬や猫では、外耳道の形状から外耳炎を発症しやすい傾向があります。

ご自宅での耳のチェックやお手入れに加えて、定期的に動物病院でも耳の状態を確認してもらうことが、外耳炎の予防や早期発見にも繋がります。

 

また、もしも愛犬や愛猫の様子に異変を感じたら、早めに病院で診察を受けましょう。

 

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