獣医師コラム

犬と猫の熱中症の危険性と対策について|命に関わる危険性も!

犬や猫は全身が毛で覆われているうえに、人間のように汗をかいて体温調節をすることができません。そのため、暑さによって体温が上がりすぎると、熱中症になりやすいです。

 

熱中症は、重篤な場合には命を落とす危険性がある非常に深刻な症状です。

飼い主様がしっかりと熱中症の危険性を理解し、適切な対策を行うことが、愛犬や愛猫の健康を守るために重要です。

 

今回は、犬と猫の熱中症の危険性と対策について解説します。

 

 

■目次
1.熱中症の症状
2.熱中症の応急処置
3.熱中症になりやすい犬種や猫種
4.熱中症後にも注意
5.熱中症の予防
6.まとめ

 

熱中症の症状

熱中症になった犬や猫は以下のような症状を示します。

 

ハアハアという荒い呼吸(パンティング)

ぐったりとした様子

・よだれの増加

 

さらに症状が進むと、重篤な症状が現れます。

 

・嘔吐

・意識がない

・ぐったりする

・けいれん

・血尿や血便が出る

 

これらの症状が見られた場合はすぐに応急処置を行い、速やかに動物病院を受診してください。

 

熱中症の応急処置

熱中症の可能性がある場合、最も重要なのは「体を冷やし、呼吸状態を整える」ことです。

 

涼しい場所に移動させる:風通しの良い日陰や、エアコンの効いた室内へ移動させます。

 

体を冷やす:濡らしたタオルや冷やしたタオル、保冷剤を首や脇の下、太ももの付け根などの太い血管があるところに当てて、体を冷やします

ただし、急激に冷やすことが危険な場合もあるため、冷水や氷の使用には注意が必要です。

 

水分を与える意識がある場合は、少量ずつ水を飲ませます。意識がない場合や飲み込む力が弱い場合は窒息の可能性があるため、無理に水を与えないようにしましょう。

 

動物病院への連絡:応急処置を行い次第、速やかに動物病院へ連れていきましょうたとえ様子が落ち着いて大丈夫そうに見えても、突然虚脱してしまって急変することがありますので注意が必要です。

 

熱中症になりやすい犬種や猫種

様々な種類の犬や猫の中でも、特に熱中症にかかりやすい犬種や猫種があります。以下に注意が必要な種類を紹介します。

 

<短頭種>

犬:パグ、フレンチブルドッグ、シーズー

猫:ペルシャ、エキゾチックショートヘア、ヒマラヤン など

これらの短頭種は鼻の構造上、呼吸がしにくいため、熱をため込みやすく、容易に熱中症になってしまいます。

 

長毛種やダブルコート

犬:シベリアンハスキー、サモエド

猫:メインクーン、ノルウェージャンフォレスト など

これらの長毛種やダブルコートの犬や猫は原産地が寒冷地であるため、暑さに弱く、高温多湿の日本の気候では特に注意が必要です。

 

さらに、呼吸器系の疾患や糖尿病、腎臓病、心臓病などの持病があると、熱中症にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。肥満気味の犬や猫も、皮下脂肪によって体に熱がこもりやすくなります。

 

体温調節機能が未熟な生後間もない子犬や子猫、体温調節の機能が低下している高齢の犬や猫も、暑さへの対応が苦手です。特に高齢のペットは、暑くなっても自分で涼しい場所に移動しないことがあるため、注意が必要です。

 

熱中症後にも注意

熱中症自体も命にかかわりますが、熱中症によって引き起こされる合併症にも注意が必要です。体温が下がった後も油断せず、引き続き体調を確認しましょう。

特に気を付けるべきは、DIC(播種性血管内凝固症候群)という病態です。

 

DICの危険性

DICは、血液が固まりやすくなり、体中に血栓を作ったり、逆に出血が止まらなくなったりする非常に危険な状態です。

以下のような症状が見られたら、速やかに動物病院に連絡してください。

 

・尿や下痢に血が混ざっている

・皮膚に紫色の斑点ができる

 

熱中症の後は、これらの症状に特に注意しながら見守りましょう。

 

熱中症の予防

熱中症の予防は、まず何よりも犬や猫を暑い場所に長時間いさせないことが基本です。

 

涼しい時間帯でのお散歩

お散歩は比較的涼しい時間帯(朝や夜)に行うようにしましょう。あまりにも暑くなる天気予報の日は、お散歩を控えることも必要です。

 

<外出時の対策>

外出する場合は、次のような熱中症対策を行いましょう。

 

・十分な水分を持参する

・濡らしたタオルを用意する

・動物用の冷感グッズを使用する

 

<おうちでの注意>

おうちの中でも熱中症になることがあります。特に布団の中や日向ぼっこをしている時は注意が必要です。特に高齢や幼い犬や猫の場合、時々様子を見てあげることを忘れないでください。

 

まとめ

熱中症は人間だけの問題ではなく、動物も熱中症になり、命にかかわる深刻な状態になることがあります。しかし、正しい知識を持ち、適切な予防を行うことで防ぐことができます。

 

大切な愛犬・愛猫を熱中症から守るために、日頃からの注意と対策を心掛けましょう。

 

富山県射水市の動物病院 吉田動物病院

TEL:0766-52-1517

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