獣医師コラム

犬や猫における鍼灸について|自然治癒力を高める

鍼灸とは病気や不調に合わせて経穴(ツボ)に細い鍼を刺入したり、艾(もぐさ)を用いて温熱刺激を与えたりすることによって、犬や猫が本来持っている自然治癒力を高めるとを目的とします。

犬や猫では痛みの管理や病気の回復促進、未病の治療など、さまざまな場面で役立ちます

 

そこで今回は犬や猫における鍼灸について解説していきます。

 

 

■目次
1.鍼灸を検討する理由
2.鍼灸によって効果のある疾患
3.施術の流れと安全性
4.フォローアップケア
5.まとめ

 

鍼灸を検討する理由

鍼灸治療の多くは、東洋医学に理解のある飼い主様が希望されます

もしくは、時間がかかっても良いので、薬を使わない自然な形で治したいという飼い主様にもおすすめです。

また、鍼灸には以下のようなメリットがあります。

 

・自然治癒力を高めて健康へと導くため、適応範囲が広い

副作用がほとんどないため、西洋医療が難しい場合にも施術が可能

・西洋医療との併用によって薬の量を減らせるため、薬の副作用を抑えられる

・痛みを和らげる

・リラックス効果

 

さらに、西洋医学では病気の原因や症状を取り除くような治療を行いますが、鍼灸治療は体の自然治癒能力を高めることにより健康不良を改善し、疾病を予防します。そのため、未病の状態(体がだるい、疲れやすい、食欲が減少しているなどの症状)や、病因不明で正式な診断名がない状態でも効果があるとされています。

また、鍼灸は薬を使用しないため、副作用の心配や投薬が難しい場合にも施術が可能です。

 

鍼灸によって効果のある疾患

鍼灸は痛みの管理や病気の回復促進、ストレス軽減といった効果が期待できます。そのため、以下のようなケースに良い効果を発揮してくれます。

 

・椎間板ヘルニアの痛みの緩和

・猫の腎不全(慢性腎臓病)の症状の緩和

・皮膚炎の改善

・発作(てんかん)の緩和

・便秘や下痢を解消して便通を整える

・老齢ペットの諸症状を和らげて生活の質を向上させる

 

また、施術対象は犬や猫だけではありません。実際に当院では、うさぎやハムスターの食欲不振改善や、老齢の鳥に施術をしたこともあります

 

施術の流れと安全性

施術の流れとしては、リラックスした状態でツボに鍼を刺したりお灸を行ったりします。その際、興奮状態では良い効果が期待できなかったり事故に繋がったりする恐れがあるため、施術を控えさせていただくこともあります

 

また、安全性についても大きな問題はありません。副作用がほとんどないことに加え、鍼は非常に細いため痛みはほとんどなく、お灸によるやけどの心配もありません。

ちなみに、鍼灸は衰弱時や貧血時、血圧に異常がある場合などは適応外となります。

フォローアップケア

体調不良に陥らないよう、施術後は安静を心がけましょう

 

また、患者様のご要望に応じて、メンテナンスを行うために1か月に1回ご来院している方もいらっしゃいますご自宅で温灸器などを使ったケアを行っていただくケースもあります。

 

まとめ

鍼灸は病気の治療はもちろん、病気の発症を予防したり、老齢ペットの生活の質を向上させたりすることもできます。また、副作用がほとんどないため、年齢や体力的に治療が難しいケースや、できるだけ薬を使わずに治したいという飼い主様におすすめです。

 

加えて、西洋医学では治療法がない場面や、改善がみられない場面で用いられる以外にも、西洋医学と東洋医学を併用することで、治療効果の向上や副作用の軽減が期待できます。

当院では各種東洋医療を取り入れていますので、治療をご希望の際はお気軽にご相談ください。

 

 

■当院の東洋医学に関するご案内はこちらから

東洋医学について

犬や猫における漢方薬や鍼灸など東洋医学について

 

富山県射水市の動物病院 吉田動物病院

TEL:0766-52-1517

診療案内はこちらから

 

<参考>

・小動物臨床鍼灸学(日本伝統獣医学会)

・これ1冊できちんとわかる図解東洋医学(マイナビ)

 

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