犬・猫から人にうつり重症化することも|人獣共通感染症について
人獣共通感染症とは人と動物の間で感染が成り立つ感染症です。
犬や猫から人間に病気がうつることも多々あります。
また、人間が感染すると重症化する病気もあるので注意が必要です。
本記事では、犬や猫などのペットと人間との人獣共通感染症を紹介します。
人獣共通感染症について
人獣共通感染症には、鳥インフルエンザや狂犬病などの疾患なども含まれており、細かなものを合わせると数百種類もの病原体が人獣共通感染症として報告されています。
この人獣共通感染症の中には、犬や猫などのペットと呼ばれる動物からうつる病気もあるので注意が必要です。
次章では、代表的な人獣共通感染症について解説していきます。
犬・猫からうつる主な人獣共通感染症
犬・猫からうつる代表的な人獣共通感染症には以下のようにさまざまな病気が考えられます。
■犬・猫からうつる主な人獣共通感染症
・狂犬病
・SFTS(重症熱性血小板減少症)
・皮膚糸状菌症
・レプトスピラ症
・回虫・瓜実条虫
・犬糸状虫症
それぞれについて詳しく解説していきます。
飼い主さんはしっかりと人獣共通感染症について理解を深めておきましょう。
・狂犬病
狂犬病は、全ての哺乳類が感染する恐れのある病気です。
日本は、現在清浄国と認定されていますが、致死率が高い病気ですので万が一の発生には備えておくことがとても大事です。
日本は、現在、法律により必ず年に1回狂犬病の接種を行う必要がありますので、しっかりと予防接種を行うようにしましょう。
・SFTS(重症熱性血小板減少症)
SFTS(重症熱性血小板減少症)は、2012年に国内で初めて報告されたマダニによって媒介される病気です。昨年、富山県では犬の2例、人でも1例発生がありました。
感染すると、発熱と白血球や血小板の減少、肝酵素上昇などの症状がみられます。
マダニによって感染するため、特に夏場は草むら、山などには連れていかないようにしましょう。
しかし、マダニは暖かい室内であれば冬でも繁殖する危険性がありますので、1年を通しての注意が必要です。
・皮膚糸状菌症
子犬や子猫など免疫力が弱い子で多く認められる病気であり、カビの感染により脱毛、皮膚の痒みやフケがみられます。
また、人間も感染すると、同様に痒みや脱毛を起こすことがあります。
脱毛をしていたり、痒みがあったりする動物に触るときには注意が必要です。
・レプトスピラ症
レプトスピラ菌によって引き起こされる細菌感染症であり、犬が感染すると黄疸(おうだん(皮膚が黄色くなること)、発熱、肝障害や腎障害などがみられ、高確率で亡くなってしまうこともあります。
感染動物の尿から人間も感染する恐れがあるので注意が必要です。
ワクチン接種することで、予防できる病気ですので、飼い主さんは、しっかりとワクチン接種を行うようにしましょう。
・回虫、瓜実条虫
犬や猫の寄生虫感染による疾患であり、軟便、下痢の原因となることがあります。
人間に感染すると、眼や内臓に移行することもあるので注意が必要です。
駆虫薬にて、寄生虫感染はある程度予防ができるので、飼い主さんは、駆虫薬を使用することを忘れずに行いましょう。
・犬糸状虫症(フィラリア)
フィラリアは、犬の病気として知られていますが、人にもごく稀に感染することがあります。
人では、発熱、咳がみられたり、無症状であったりと症状はさまざまです。
飼い主さんは、犬と人間の両方の身を守るためにも、しっかりフィラリア予防をしてあげるようにしましょう。
人獣共通感染症の予防方法
人獣共通感染症を予防するためには、感染源となる犬・猫の健康を病気に感染させないことが大切です。
これらはワクチン接種や、ノミ・ダニ・フィラリアの予防薬によって感染リスクを抑えることができます。
また、犬猫に触った後には、必ず手を洗ったり、顔まわりを舐めさせないようにしたりなど、人間側も病原体に感染しないように対策するようにしましょう。
特に免疫力の弱い子供や高齢の方には、このような人獣共通感染症に罹るリスクが高いので注意しましょう。
まとめ
本記事では、人獣共通感染症について、代表的な疾患を挙げ予防方法について紹介してきました。
人獣共通感染症の重症度はさまざまですが、中には人間が感染すると重症化し亡くなってしまう病気もあるので注意が必要です。
犬・猫のワクチン接種やノミ・ダニ予防などをしっかりと行うことによって感染リスクを下げることができますので、飼い主さんは、必ず予防診療を受診するようにしましょう。
富山県射水市の動物病院 吉田動物病院
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